映画 The Wall Street (1987)ウォール街を観て ゲッコーはなぜブルースター航空の解体を画策したのか①(ネタバレ含む)



映画のクライマックスとも言える、ゲッコーのフォックス親子に対する裏切りは、ゲッコーの現金主義な一面を強調するとともに、日々懸命にブルースター航空で働く社員が、一人の投資家の判断によって残酷に切り捨てられるという資本主義の実態を表現するものとなっている。

 

(余談ではあるが、日本では戦後、航空機の製造が禁止され、アメリカ依存となった。それにより航空業界は政治によって守られていると同時に、航空業界の競争そのものが希薄化されてきた。

 

加えて政治家と航空利権の接近が顕著となった。これはのちに日本航空財政破綻にもつながるのだが、、 

 

アメリカでは、1970年代後半からの航空産業に対する規制緩和によって、航空料金競争が激化する。

 

1985年が舞台の本作も、その影響を受けている。

 

ともかく、日本ではこのような価格競争から生じる航空会社の買収は馴染みがない。というかそもそも航空会社が少ない。)

 

 

当然、父親の会社が解体されることを知ったバドはゲッコーに異を唱えるが、ゲッコーは相手にせず、ここからはゲッコーの独壇場が始まる。

 

「自分は何もつくっていない、ただ所有しているだけだ」

 

「投資家の匙加減で政治、飢餓、ペーパークリップの値段も変わる」

 

「君もこれが民主主義とは思うまい」

 

おそらくこのシーンはストーン監督が現代社会に対して言いたいことが凝縮されている。

とうよりこのシーンを撮りたいがために映画というステージを準備したといっても過言ではないだろう。

ここで、これまで友好関係を築いてきた2人はここで完全に崩壊する。

ただ疑問なのは単にゲッコーの独壇場を設けるためだけにこの設定が用意されたかということである。

監督のオリバーストーンは明確に「資本主義批判」としてこの映画を撮ったが、結果は彼の期待に反して、皮肉にも、ゲッコーに憧れて、公開後、彼のスーツスタイルをまねした若者がウオール街にあふれたという。

 

 

ともかく、疑問に思うのは、航空会社を売っぱらって、年金積立金と整備場の土地を手に入れたところで.....ということである。

加えてバドの言う再建案を実行し、経営者として名を売ると言うことも、何らゲッコーに不利になるものでもない。(そういう他人を気にせず金を追うのがゲッコーなのかもしれないが....)

つまり、彼の独壇場を設けるために、ブルースター解体という「job」を彼のキャラクターに託したことは間違いないが、ほかに彼を「ブルースター解体」に走らせた要因があるのは確かである。

 

次回、その具体的な原因を考察していく。 

 

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